舌下免疫療法(スギ花粉症・ダニアレルギー性鼻炎)

舌下免疫療法とは

舌下免疫療法とは、減感作療法(アレルゲン免疫療法)の一種です。減感作療法は、アレルギー疾患の原因となるアレルゲンを、低濃度、少量から投与し、徐々に増量、高濃度へ移行させることで、体をアレルゲンに慣らし、アレルゲンに対する過敏性を減少させる治療法です。舌下免疫療法は、従来の皮下注射による減感作療法の欠点であった、注射部位の痛み・腫脹、頻回の通院回数、重篤な副反応の発生、などを大きく改善した画期的な治療です。

[特徴]

  • スギ花粉症」の場合は、鳥居薬品が開発した「シダトレンスギ花粉舌下液」という液体の薬剤を使用します(少し甘味がある飲みやすい薬です)。
  • ダニアレルギー性鼻炎」の場合は、鳥居薬品「ミティキュア ダニ舌下錠」もしくは シオノギ製薬「アシテア ダニ舌下錠」とうい口の中で融ける錠剤を使用します(どちらも、飲みやすい薬です)。
  • 口の中に垂らす薬や、口の中で融ける錠剤の使用で、従来の注射治療による痛みがなく、原則、自宅で治療が可能です。
  • アレルギー症状を軽減、長期にわたり症状をおさえる可能性のある治療法です。
  • 患者さんが自宅で毎日服薬を続ける治療であるため、効果や、起こりうる副作用や その際の対応も含め、ご自身の治療法に関する十分なご理解が重要です。
  • 個々の病状により、診察の結果、実施できない場合があります。ご了承ください。
  • 健康保険が適応されます。

なお、HD(ハウスダスト)アレルギー性鼻炎について効果があるか?とのご質問が多々あります。HDの主成分はダニであることから、HDアレルギーの方でダニアレルギーの抗体がある方には、ダニ舌下錠の治療効果が期待できます。

スギ花粉とダニアレルギーの両方の鼻炎でお困りの方で、両方の治療を同時にご希望の場合は、状況によって実施可能ですが、診察時に別途相談となります。

実施条件(安全性確保の為に一部は当院独自に設定している項目もあります)

  • 12歳以上の方
  • 以下の内容に当てはまらない方(可能な場合もありますので詳細は診察時にご質問ください)
    • 過去および現在、喘息がある
    • 薬や食べ物に強い重症なアレルギーがある
    • 他のアレルギー疾患(アトピー、蕁麻疹などの重症例)がある
    • 癌、免疫不全の病気、重症の心疾患、肺疾患、高血圧を患っている
    • 妊娠中、授乳中(治療開始時において)
    • 他の薬を服用している(ステロイド、βブロッカー、抗うつ剤、抗パーキンソン剤 等)
    • 高齢者(健康な方は可能な場合もあります)
    • その他 口腔内の炎症等のある方
  • スギ花粉症(またはダニアレルギー性鼻炎)の治療のみとご理解いただける方
    • 血液検査でスギ花粉症(またはダニアレルギー)かどうかの確定診断が必要
    • スギ花粉とダニアレルギーの両方の鼻炎治療をご希望の場合も別途ご相談(状況により実施可能)
  • 長期間(3〜5年)の治療にご理解いただける方
  • 最初の1ヶ月間は2~3回の通院、以後、月に1回の通院が可能な方
  • 効果には個人差があることを理解いただける方(※1)
  • 副作用を理解いただける方
    • 軽微な副作用:舌や咽喉のかゆみや腫れ、口内炎など・・・通常は消失するので治療継続可能
      50人に一人程度に見られますが、通常は使用を続けると2~3週間でアレルギー反応に慣れ、起こさなくなります。
    • 重大な副作用:ごく稀にアナフィラキシーショック(※2)・・・治療中止となります
      なお発生頻度は、海外では10億回に1回程度と報告されています。
    • 現在、当院では、舌下免疫療法をされている方全員が大きな問題もなく治療されています。

※1 スギ花粉症の舌下免疫療法を2年間続けた240人の効果を調べたところ「ほぼ完治」が44.6%、「まあ効果あり?」が33.3%、そして「効果なし」が22.1%という結果がでました。(NHK調べ)

※2 アナフィラキシーショックとは:
薬剤投与後30分以内ぐらいに、蕁麻疹、呼吸が苦しくなる(ヒューヒュー、ゼーゼー)、血圧が下がる(頻脈、気分が悪い)、意識混濁、胃痛、嘔吐 等が見られるショック状態を示します。
その際には内服薬や注射薬で治療します。なお、発生頻度は10億回に1回程度と報告されており、限りなく低い確率で、未だ国内でも認めません。

  • スギ花粉症舌下免疫療法の場合、初回治療がスギ飛散時期と重なるときは、花粉飛散がなくなってから開始いたします。
  • 治療資格のある医師しか処方できないために、転居などの際には事前にご相談ください。
  • 詳細は製造メーカーサイトを参照ください。
    http://www.torii-alg.jp/ 鳥居薬品「トリーさんのアレルゲン免疫療法ナビ」

お渡しする薬剤について

●「スギ花粉症」の場合

シダトレン見本
実際使用する薬品の見本
①1週目の薬剤(1週間分)
②2週目の薬剤(1週間分)
③3週目以降の薬剤(1日分)
※当初は14本(2週間分)処方、その後、問題ない場合は28本(4週間分)処方します

治療される方への冊子
使用者携行カード、薬の使用方法・治療の疑問にお答えする冊子、服用記録・症状日誌など一式をお渡しします。

●「ダニアレルギー性鼻炎」の場合(例:ミティキュア)

ミティキュアの見本
実際使用する薬品の見本
口の中で融ける飲みやすい錠剤を使用するので、簡便に治療できるようになっています。
治療される方への冊子はスギ花粉症の場合と同様にお渡しいたします。

治療のスケジュール

●「スギ花粉症」の場合

スギ花粉症であることが確認できたら、シダトレンを2週間かけて徐々に増量し、その後は一定量を長期間服用します。初日は処方薬を当院で服用し、2日目からは自宅で服用します。

スギ花粉が飛散している時期は、新たにシダトレンの治療を開始することはできません。

●「ダニアレルギー性鼻炎」の場合(例:ミティキュア)

1日1回、口の中で融ける飲みやすい錠剤を使用するので簡単に服用できます。ダニアレルギーを確認後に開始しますが、スギ舌下液よりも維持期に到達する期間が短く、より使いやすくなっています。

費用について(保険適応)

通常の診察費用と同じで特別な料金はありません(最初の血液検査時のみ検査費用が必要です)。
スギ花粉症の場合で、3割負担の例では、初診時は検査料金(標準的な検査の場合)を含めると4,000円程度、2回目からは500円程度です。
薬局で支払う薬の料金も、一か月分が1,500〜2,000円程度です。
※手間のかかる治療の割には比較的安く設定されており、治療が受けやすくなっています。

妊娠中の治療について

妊娠中、授乳中の方は治療出来ません。
近い将来、妊娠予定の方も、実施は控えた方がよいでしょう。
治療中に妊娠してしまった場合、胎児に直接の影響はないので治療継続は可能ですが、個々のケースによりますので個別にご相談させていただくことになります。
男性は精子への影響はなく、妊娠への影響を考慮する必要はありません。

舌下免疫療法について

スギ花粉症、ダニアレルギー性鼻炎に対して『根治させる可能性のある唯一の治療』で、その効果が期待されています。ヨーロッパでは既に使用されており、効果は確認されています。副作用も重篤なものは見られず安全性も確立されています。
適応を厳格に判断し、指示通り使って頂くと、注射の治療よりもはるかに安全な治療と思われます。患者さんご自身に、治療方法や副作用の理解と、長期間にわたる治療というハードルを越えて頂かないといけませんが。当院では、長年の注射による減感作治療のノウハウがあり、その経験をもとに、この治療に対して的確に治療を進めていきたいと思っております。

注意事項 お願い

初回と2回目の受診の際は、ご説明に時間を要すことがあります。時間に余裕を持って、遅くとも受付終了30分以上前には、来院をお願いします。